
我が家の神棚には、エケコ人形がいます。ひとつは主人のエケコで、アンデス地方を旅した友人からお土産でいただいたもの。もうひとつは私のエケコで、日本の輸入雑貨屋さんで出会いました。
エケコとは
エケコ(Ekeko)は、アンデス地方、とくにボリビアやペルーで広く信仰されている幸運の神です。富と繁栄、幸福をもたらすと信じられ、多くの家庭で崇拝されています。エケコは、ひげの生えた笑顔のおじさんの姿をしていて、背中には小さな物品をたくさん背負っています。
エケコが背負う小さな物品には、食料、金銭、家、車などがあり、これらはそれぞれの願望を表現しています。たとえば、食料を背負ったエケコは家庭の食糧豊かさを、金銭を背負ったエケコは経済的な豊かさを象徴します。
これらの物品をエケコに供えることでその願いが叶うと信じられています。たとえば、家が欲しい場合はミニチュアの家を、お金が欲しい場合はイミテーション(模造)のお金を、車が欲しい場合はミニチュアの車をエケコに供えます。
エケコとタバコ
エケコはタバコ(マルボロメンソール)が好きで、エケコの口はタバコがくわえられるようになっています。エケコの口にタバコをくわえさせ、火を点けると、エケコはタバコを吸っているあいだに自分に供えられた供物に関して願いを込めていき、その願いが叶うと信じられています。
ボリビアでは、エケコをたたえるお祭りがある
毎年1月24日から1ヶ月間、ボリビアのラパスでエケコをたたえるお祭り・Alasitas Festivalが開催されます。このお祭りでボリビアの人々は、自分の家にいるエケコに備える、その年の願いを込めたミニチュアを購入し、エケコにお供えします。
エケコの歴史と起源
エケコの起源は、インカ帝国以前のティワナク文化に遡ります。アンデス地方の人々は、古くから豊穣や繁栄を象徴する神々を信仰しており、エケコもその一つとされています。スペインの植民地支配が進むなかで、エケコの信仰はカトリック教徒の信仰と融合し、現在の形に発展しました。
エケコは、単なる幸運の神であるだけでなく、アンデスの人々の歴史と信仰、そして彼らが大切にしている価値観を体現しています。エケコを信仰することで、人々は古代からの伝統を守り続け、未来に向けて繁栄と幸福を願い続けています。
まとめ
エケコは、アンデス地方の豊かな文化と歴史を象徴する神です。人々に幸運と繁栄をもたらす存在として愛され続けています。